リビングにドアは必要?
utideで使っている建具=ドアについてのご質問を最近多くいただくので、本日は建具についてお話しします。
utideでは廊下との連続性や、玄関まで光を入れるために、リビングの扉をガラスにすることは確かに多いかもしれません。しかし、同じガラス扉でも製作の場合もあれば、既製品もありますし、素材もさまざまです。そして、そもそも空調計画によっては建具をつけないという選択肢もあります。そこで、今日は空調計画別にどのような建具を使っているか、そして扉をつける場合どんな種類をよく使っているか以下にまとめてみました。少しでも家づくりに役立てば幸いです。
<全館空調>
・たまプラーザの家
たまプラーザの家は全館空調なので、リビングと廊下の間に扉はなく、もちろん2Fやパントリーもひと続きです。こういう場合はあえて扉はつけず、「区切り」をつけるためにアーチ状の廊下を設けています。(扉の開閉も一手間ですよね・・・私の場合、子供が開けっぱなしにすることが気になってしまいます)ただの廊下では面白くありませんので、アーチ状の廊下は壁と天井を繋げてモールを回していたり、アーチ左右壁にはブラケットもつけています。
・山手の家
こちらも全館空調を採用しているので、吹き抜け階段とLDKは一体になっています。遮るものを設けないことで、吹き抜け階段越しに見える中庭までをLDKの一部とすることができ、このお家の場合は「区切り」を床の段差、天井の高低差でつけています。リビングだけ床を上げ、斜め天井にすることで、視覚的には繋がっていても、空間としてはしっかり区切られているのが心地よいです。
海外の家は全館空調がほとんどなので、こういった形の区切り方は海外ではよくありますね。日本ではなかなか全館空調の実現が新築でも少なく(初期費用がかかったり、配管ルートを確保するために天井高さが低くなったりと色々な制約があるので)、リノベーションの場合は、既存建物の断熱性能が悪いと効かないということもあり、なかなか実現が難しいのが実情です。
▶︎STUDIO Mcgee
<個別空調>
・自宅
自宅(RC一戸建て)は10年ほど前にスケルトンにし全面改装をしました。断熱をやり直し、窓も断熱性能が高い海外のものにしましたが、それでも全館空調メーカーが「性能は保証できない」と言われてしまい、隠蔽式のエアコンをダクトで廊下やトイレまで回しています(手動の全館空調みたいな感じですね・・・笑)。その関係で、ガラスのかまち扉でリビングと廊下を仕切っています。できる限り開口を大きくしつつ、開きっぱなしでも邪魔にならないサイズと考え、1枚の扉の幅はW700と小さくしています。扉自体はSimpsonの既製品で、モールや巾木と同じ色で仕上げています。ドアノブはEMTEKのものです。
ダイニングからテラスに出るドアと同じデザインなので、同じ空間に2つ扉があっても違和感が無いように選んでいます。
・山手の家
山手の家では、オリジナルで作った扉でダイニングとリビングをそれぞれ仕切っています。玄関から廊下を入ると右側にリビング、左側にダイニングと空間が分かれているのですが、それぞれを同じガラス扉で仕切り、お互いが視線では繋がり、デザイン的に統一されることを意識しています。またスチールドアは重いので、開閉がしやすいように、取手にはレザーを巻いています。
・浜松の家
浜松の家では、Raikiで廊下とリビングを仕切っています。Raikiは国産メーカーですが、デザイン的にシンプルで(ある程度オリジナルでデザインもできます)、開閉もとてもスムーズで、価格も海外メーカーほどでは無いのでお勧めです。ハウスメーカーさんや新築の設計変更ではオリジナル建具はなかなか実現が難しいのですが、Raikiでしたら取り入れられると思いますので、ぜひ検討してみてください。
そして予算は抑えたいけれど、ガラス扉にしたいという時に使っているのはmiratapのクアドロスリムです。確かに開閉した時にドアの軽さや、ガラスが撓むような引っかかりはあるのですが、価格と仕上がりのバランスを考えると費用対効果は良いと思います。おすすめは黒フレーム+ブロンズガラスです。
このようにドア一つ色々ありますが、ドアは単なる「意匠」ではなく、空調や音との関係も視野に入れながら、検討することが大切です。そして「開きっぱなしにした時」の扉の位置や見え方も必ず確認することをお勧めします。やはり気持ちが良い気候の時は開けっぱなしにしたいと思いますし、その時にドアが存在感が出てしまったり、邪魔だったら開けにくいと思います。ぜひただの「意匠」としてではなく、「機能」としても扉をとらえて、検討されると良いと思います。