機能だけじゃない、トイレを空間としてデザインする

家づくりを進める中で、意外と奥深いのが「トイレのデザイン」です。
単に壁紙や床材を選ぶだけでなく、誰が・どんなふうに使うのかをお客様にヒアリングしながら、空間全体を設計していく必要があります。

 

特に、ひとつの住まいに複数のトイレがある場合は、それぞれの用途を明確に分けて、それに応じた設えを考えることが大切です。
用途の一例としては、以下のようなものがあります。
・来客用トイレ
・ゲストバスルーム(ゲストルームの近くに設ける浴室付きトイレ)
・マスターバスルーム(主寝室に隣接するご夫妻用のトイレとバスルーム)
・ファミリーバスルーム
・子ども用
・お手伝いさん用
・外用(外からアクセスできるバスルーム)
それぞれのトイレには、使う人やシーンに合わせた工夫が必要です。
今回は、utideで手がけた事例から、「トイレをどう考え、どうデザインするか」についてご紹介していきます。

 

<来客用トイレ>

来客用トイレをデザインする際は、文字通り来客が使うトイレですので、その家の顔になるように、そしていつでも綺麗に保てるようにデザインします。
デザインはそれぞれのお客様のご希望を伺って作りますのでさまざまですが、共通しているポイントが2つあります。

 

1つ目はタオルバーをつけないこと。
来客用ですので、ペーパータオルや小さなハンドタオルを置く想定で、天板に穴をあけたり、ペーパータオル・ハンドタオル、使ったタオルを入れる箱がおけるスペースを考えます。

 

utide_来客用トイレ

 

2つ目は自動水栓にすることです。
1つ目のポイントと同じく、来客が衛生的に不快に思わないように配慮しています(水栓を触らなくてよい)。
自動水栓はいろいろありますが、弊社ではTOTO / CERAのシリーズを使うことが多いです。
CERAは少しクラシカルなディテールがあり、ゴールドもあるので、クラシックなインテリアにされたい時も使えます。

 

utide_来客用トイレの自動水栓

この2つのポイントは後から見直すことは難しいので、ぜひ計画当初から念頭に入れられると良いです。

 

<マスターバスルーム>

マスターバスルームは主寝室の中または隣接して配置されたバスルームですが、レイアウトが大事です。
住み手のライフスタイルを伺いながら、計画します。

 

・麻布の家

麻布の家は、マスターバスルームの中に独立してトイレを配置しています。
どちらかがトイレに入っていても、気にせず洗面台・シャワールームを使えるように扉を設けています。
朝起きてクローゼットを通ってマスターバスルームに行く、家に帰ってきてシャワーを浴び、クローゼットで着替えてから寝室に行く回遊動線としています。

 

utide_麻布の家のマスターバスルーム

 

・渋谷の家

渋谷の家では、夫婦二人の就寝時間が異なるので、「寝室は一緒でもお互いにゆっくり眠りたい」、「トイレをお互いのベッドから近いところに配置したい」とのご希望から、大きな寝室の中央にマスターバスルームを配置しました。
マスターバスルームの左右にそれぞれのベッドを配置しています。
トイレはアクセスを重視し、バスルームのいちばん手前に配置し、扉で区切っています。

 

 

・軽井沢の別荘

軽井沢の別荘では、トイレは独立させず、洗面室の一部としました。
理由は奥様はたまにしか別荘を利用せず、ご主人がお使いになることが多いということ、そして洗面台で身支度をしているときにトイレ横の窓から見える浅間山を楽しみたいというご希望があったからです。

 

 

<ファミリーバスルーム>

その名の通り、家族用のバスルームですが、お子様の年齢や、ご家族同士の関係性、また生活の習慣によって、様々な形が考えられます。

 

・渋谷の家

渋谷の家ではお子さんが小さかったので、あえてトイレを扉で仕切らず、ママが身支度をしている横で子供がトイレに行ったりお風呂に入ったりできるようにしています。
また転んでも危なくないように、あえて床はフローリングにしています。
将来的にトイレを独立させたい時に扉をつけられるように、配置にしています。

 

 

・横浜の家

こちらは、2Fプライベートゾーンの中心にファミリーバスルームがあります。
トイレは独立させていますが、家族で過ごす時間が多い(いちばん時間帯が重なり自然と集う場所)ので、あえて洗面台、お風呂は扉を設けずトイレだけを独立させています。

 

 

プライベートな空間であるトイレには、その家らしさや住まう人の価値観が自然と表れます。

私たちは、その空間を単なる機能としてではなく、暮らしの一部としてどう整えるかを大切にしています。

小さな空間にも、丁寧に向き合うことで、その家らしい心地よさが生まれると考えています。

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