居心地のいい場所、ヌックをどうつくる?部屋別に見るデザインのヒント
utideのブログでは「インテリアを良くするヒント」を綴りたいと思っています。
ハウスメーカーや建築家と家を作られている方、お客様の家をデザインされているコーディネーターの方などに、少しでも役立つ情報を共有していけたらと考えています。
インスタグラム等でいただくご質問をヒントに、これからも様々な情報を共有していきたいと思いますので、是非こんなことを知りたいといった質問やリクエストを送ってください。
さて、先日、事務所で行ったベッドヘッドのイベントにて、「ヌック」について数人のコーディネーターさんから質問をいただいたので、最新の事例とともに、部屋別にどのようにヌックを取り入れているかをご紹介したいと思います。
ヌックとは、「居心地の良い、こじんまりとした場所」のことを指します。
ソファとは異なり、よりパーソナルなイメージを想像されると思いますが、作る場所や大きさによって、デイベッド、小上がり、ベンチなどと役割が変化しますし、使い方も様々です。
<リビングに設けるヌック>
リビングには、部屋の中心にソファが置かれるケースがほとんどです。
そのため、リビングに設けるヌックの役割としては、読書をしたり、お昼寝をしたり、一人の時間をゆっくり過ごせるスペースとすることが多いです。
ヌックを作る場所としては、収納の一部にヌックを設けたり、デッドスペースを有効活用しヌックとして造作することがあります。
1.中目黒の家
リビングの壁面に大きな収納を設けています。外のテラス側の一部に座面を掘り込み、ヌックとしました。収納の一部であるため、奥行きは狭いですが、来客が多い時はベンチとしても活用できます。
収納の側面を本棚にすることで、外の空気を感じながら、読書できる最高のスペースです。
2.四ツ谷の家
先日お引き渡しをした、キャリアウーマンのためのお部屋です。
キッチンの横の柱と壁の間を利用し、収納兼ヌックに。
TVの正面のデイベッドでくつろぐのもよし、景色や気分を変えて、ヌックで楽しむのもよし。
来客があった時も、大人数で会話を楽しむことができます。
3.川崎の家
窓からのビューが素晴らしいため、ソファと同じく、窓の高さに合わせて作ったヌック。
窓の中心部にソファは配置し、その正面にTVを配置、ヌックは360度のペントハウスビューを楽しめるようにデザインしました。
通常ヌックやソファーは腰掛けやすいように座面高さを45cm程度にしますが、今回は窓のラインに合わせるために床から37cmとしています。
また書斎・キッチンからの動線に邪魔にならないような形状にし、二人でもゴロゴロできるような大きなヌックとしました。
ヌックの下も有効活用し、奥行きを活かして長物が収納できるようになっています。
<ファミリールームに設けるヌック>
ファミリールームは、キッチンの近くに設けることが多く、家族で軽い食事をしたり、お子さんが勉強をしたりと、ライフステージやそれぞれのご家族によって用途は異なります。
様々な使い方に適用できるように、ベンチのように使うことを想定してデザインすることが多いです。
リビングとは異なり、ヌックがメインになることが多いので、張地でデザインを楽しんだりすることもあります。
1.代々木の家 1
キッチンの横にある部屋を、ファミリールームとして使うことをご提案しました。
テーブルを配置して、食事をしたり、お子さんが勉強したりするスペースとしても使用しますが、デイベッドとしても使えるようになっています。
一面を長く大きなヌックとし、大人が寝転んでも余裕なサイズになっています。
ブルックリンテイストに仕上げるために、インパクトのある張地と、アイアン・ブリックを組み合わせて仕上げています。
2.代々木の家 2
窓際に配置したヌック。
こちらも、本を読んだり、宿題をしたり、ipadで映画をみる場所としてファミリールームをリノベしました。
お昼寝ができるデイベッドとしても使えるよう、奥行きを深くしています。
<ゲストルームに設けるヌック>
ゲストがお泊まりになるお部屋になりますが、デザインするときは、普段ゲストがいらっしゃらない時でも、一つの部屋として有効活用できるように考えます。
普段はヌックとして、ゲストがいらっしゃる場合はベッドとして考えることが多いです。
1.横浜の家
普段はセカンドリビングとして、ゲストがいらした時はゲストのベッドとして使えるようにシングルベッドサイズで作ったヌック。
トランドルになっており、ヌックの下は引き出し式で、もう1枚マットレスが入っており、最大2名でも眠れるようにデザインしています。
家の中には、誰にでも自然と足が向く、お気に入りの場所があるものです。
ヌックは、そんな「とっておきの居場所」になる空間です。
家づくりのヒントとして、何か一つでもお役に立てば嬉しいです。