Get the look! -渋谷の家-
プロジェクトで使った素材や家具等をSHARE(=共有)する”Get the look”。物件を通して検討を重ねて選んできた素材や家具を、一般の皆さんにもSNSやblogで共有し、少しでも家づくりのお役に立てたらと考えております。 今回は、東京都渋谷区のマンションリノベーションをご紹介します。
<キッチン>
キッチンは2つのI型キッチンが並行しており、ダイニング側から見えない側は既存のキャビネットを再利用し、金物(レール、ヒンジ等)を再利用し扉を制作し直しています。ここでポイントとなるのが側板と扉の処理。
今回箱は再利用なので、側板はシートで巻き、扉はメラミンで再製作しており、異なる素材が隣り合わせとなります。この色が微妙に違うだけで、かなり違和感が出てしまうので、しっかり色合わせをしています。それぞれのメーカーにサンプルを依頼すればA4サイズ程度のサンプルを送って下さいますので、ぜひご自身でキッチンを再利用しようと思っていらっしゃる方は、サンプルを頂いて確認されることをお勧めします。扉は、AICA/K-6110KN、カッティングシートはダイノック/ PS-3863MTを使用しました。
ダイニングから見える方のキッチンは、新規で製作しています(食洗機は再利用)。
扉はオークの追柾、ウレタンマット仕上げを横使いに、天板とバックガードはフレッシュコンクリートです。「木」で造作する場合、無垢は小口等で使うのみでほとんど突板になります。ただここで気をつけているのは、「木目の向きとリピート」です。どうしても突板は木を削いでいるので、同じ柄がリピートするように見えがちです。柾目を使えばリピートは気になりにくいですが、工業製品のように見えてしまうことが少なくないので、弊社では追柾とし、リピートにならないようにずらして使ってもらっています。
またキッチンは汚れが拭き取りやすいようにウレタンにしておりますが、ウレタンは何も依頼をしないとテカテカになってしまうので、マット(全消し)で依頼をし、もちろん色合わせもしています。今回は既存のフローリングを再利用しておりますので、フローリングに色を合わせ、細かいですが細部まで細かく指示をすることが大切です。
<天板>
天板はシーザーストーンのフレッシュコンクリート。フレッシュコンクリートは温かみのあるグレーで、適度に模様が入っているので、utideでよく使う素材の一つです。木目にも単色塗装にもよく合うのでお勧めです。
<オープン棚>
デザインのポイントとなっているのは、長くて高いバックガードと、オープン棚。バックガードは天板と同じものにし、天板が伸びているようにし、オープン棚で素材を切り替え、オープン棚の上はクロス、下はシーザーストーンになっています。
また棚の高さと奥行きと厚みも重要です。キッチンで作業していても邪魔にならず、そして飾り棚としてのボリューム感が出るようにしています。
<照明の光かた>
手元灯も兼ねて照明も入れておりますが、ダイニングに座った時に光源が見えてしまうと台無しですし、照明が連続せずプチプチ陰影が出てしまわないように、連結できる小型照明を使っています。今回採用した照明は、Luci/LFPCFパワーフレックス100V CFです。
最後にお気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、キッチンは壁までではなく、壁から少し離れたところまでにしています。カーテンがキッチンと壁の間に引き込まれるようにスペースを残しています。
迷ったのは棚板です。棚板もキッチンと同じように壁から離すか、棚板は壁までとするか。結局色々検討した結果、棚板は壁までとしました。
<アイランドキッチン>
アイランドキッチンは、キッチンと同様シーザーストーンで製作しています。キッチン側には、お薬、体温計、筆記用具など、家族がよく使うものを入れる引き出しを設けています。扉の面材は、見えない方のキッチンと同じメラミンです。
アイランドキッチンに配置するスツールはアイランドより背もたれが低いものをセレクト。アイランドで過ごされる時間も長いので、座り心地を重視し、小さな背もたれがついているスツールにしました。また座面レザーを貼り、マスターウォールのスツールを採用しました。
<家具>
今回、実は「木」家具をダイニングで沢山用いています。しかも異なるメーカーをミックスしているので、細心の注意を払ってコーディネートをし、サンプルをすべて取り、実物を確認してオーダーしています。今回ダイニングテーブルとベンチは少しウォッシュがかった(白く拭き取ったような木目)とし、フローリングやチェアーとは同じ色味なのですが、表現を変えています。
私がよく「ファミリー」という言葉を使うのですが、家族は顔が似ていたり、どこか着こなしが似ていますが、それぞれ個性があり、異なる人であるように、同じ空間にあるものは「ファミリー」であることを大切にしています。今回ウォッシュがかかったテーブルもカールハンセンの椅子もマスターウォールのスツールも「ファミリー」になるように、素材は家具のデザインを確認しながらセレクトしました。
スツール:マスターウォール /パロット カウンターチェアー /WO RIO#2951(アイボリー)
チェア:Carl Hansen /CH24/ナチュラルペーパーコード/オーク材
ベンチ:AD CORE /701ベンチ/オーク材/(張地)LU-1
ダイニングテーブル:AD CORE /107テーブル/オーク材
そして最後にソファー。お客様がピエール・ジャンヌレのアームチェアーを配置されたいと伺っていたので、アームチェアーやダイニングの家具とのバランスで検討しました。できるだけ脚部が目立ない形状を探し、選んだのはBoConceptのCenova(ベージュ Verona3074/クロム)。ベージュの粗めの素材を選んでいます。BoConceptのソファーはアームにボリュームがしっかりあるので、utideではよく提案をしています。シンプルで飽きがこないソファーは国産でも沢山ありますが、アームにボリュームがあるソファーは限りがあるので、お勧めです。オブジェやちょっとした小物も充実しているので、ぜひ立ち寄ってみてください
棚の上に飾っている大小サイズが違う小物は、実はBoConceptのアイテムを選びました。インテリアのアクセントとして取り入れることで、空間全体に統一感とスタイルをもたらしてくれます。小物の選び方ひとつで、部屋の印象がぐっと変わります。
<照明(おまけ)>
最後にダウンシーリングについてご紹介します。
アイランドやダイニングテーブルの上にペンダント等で装飾することもよく行うのですが、今回はできるだけシンプルに、LDKが一つの空間になるようにデザインをしたいと思っていました。ただ、すべてダウンライトにしてしまうこともできたのですが、少しだけアクセントを入れたいと思い、キッチン通路はダウンシーリング(大光電機/小型シーリング/DCL-5420YWG)にしています。
このように、私たちは一つひとつの選択やディテールにこだわり、お客様のライフスタイルやご要望に寄り添いながら空間づくりを進めています。プロジェクトごとに使用した素材や家具を共有する“Get the look”を通じて、皆さんの家づくりやリノベーションの参考になれば幸いです。