いますぐ出来る!暮らしの中にアートを、インテリアウォールのヒント
インテリアをデザインする際、計画の初期段階から『どこにアートを飾るか』を考えることはとても重要です。アートは空間に個性を与え、雰囲気を一変させる力を持っていますが、その効果を最大限に引き出すためには、飾る場所や飾り方をあらかじめ考えることが鍵です。どのようにアートを取り入れるか、悩むのも楽しみのひとつですね。今回はアートの飾り方についていくつかの事例と一緒にご紹介いたします。
<アートを飾る場所をあらかじめ決める>
インテリアをデザインする際には、計画の初期段階から「どこにどのアートを飾るか」を意識して検討します。アートは空間の雰囲気を大きく左右するため、インテリア全体のテーマや配色に合わせて、最も映える場所を考慮し、配置を計画します。これにより、アートがただの装飾としてではなく、空間を引き立てる重要な要素として機能し、自然に視線を集めるフォーカルポイントが生まれます。
・シンメトリーと光で演出
「麻布の家」では、お客様がお持ちのアート作品を一つ一つリスト化し、空間の中で最も引き立つ配置をじっくりと検討しました。アートが主役となるよう、適切な照明計画を立て、作品が美しく映える明るさと陰影を細かく調整しています。また、アートを中心に壁面がシンメトリーになるようにモールディングを施し、空間全体に調和と統一感が生まれるよう工夫しました。このように、アートが生活空間の中で美しく、自然に馴染みつつも印象的なフォーカルポイントとして輝くようにデザインしています。
・ガラスアートが主役のダイニング収納
「緑園の家」では、三嶋りつえさんのガラスアートが浮き立つように、ダイニング収納をデザインしています。三嶋さんやギャラリーと相談し、ガラスアートよりも小さな直径のフロストガラスを天板に設け、ガラスアートだけが光るようにしています。光がアートに独特の陰影と表情をもたらします。このようなデザインの工夫により、ガラスアートとダイニングが一つのインテリアとして調和し、空間に奥行きと温かみを加えています。
<家に合わせてアートを作っていただく>
家をデザインする際には、フォーカルポイントを設けることで空間に印象的なアクセントを加えるよう心がけています。アート作品を飾ったり、存在感のある一点ものの家具や、枝ぶりの良いグリーンを取り入れたりして、視線を集める工夫をしています。また、新居の雰囲気にぴったり合うアートをお客様とご一緒に選ぶことも多くあります。
・照明とコンソールの調和
「川崎の家」では、Asendadaさんでアートをセレクトし、アートが引き立つようにブラケットとコンソールを配置しました。アートと照明、家具が調和し、空間全体に洗練された雰囲気が広がるような、こだわりのデザインが実現しています。
・家族のための特別なアート
「世田谷の家」では、オリジナルで山田茂さんに3枚のアートをデザイン頂きました。壁に対する大きさやお客様のご希望を山田さんに伝え作っていただきました。
山田茂さんは岡山で生まれ育ち、独学で絵を学びながら33歳まで地元で活動していました。その後、The Art Students League of New Yorkに留学し、1999年から2004年までニューヨークに滞在。さまざまな人々が集まり、エネルギーあふれるニューヨークの街は、山田さんの創作に大きなインスピレーションを与え多そうです。
真ん中のバレリーナの作品は、お施主様のお嬢様がバレリーナの作品をご希望され制作された作品です。ご希望のイメージはドガの踊り子でした。また、右側の作品は、「サン=テグジュペリの言葉をドローイングの中に組み込んでほしい」というご希望を受けて、制作いただいた特別な一枚です。繊細なドローイングと詩的なフレーズが重なり合い、視覚的にも心に響く作品です。
<アートに合わせて内装素材を選ぶ>
アートが映えるように白い壁にすることは少なくないのですが、アートにマッチする色を意図的に使うこともあります。
・アートが引き立つ空間設計
「高輪の家」では、お持ちだったbuffetの絵から廊下の天井や扉を濃紺にしました。この濃紺が空間に落ち着きと洗練を加え、アート作品との調和を生み出すだけでなく、作品自体がより印象的に浮かび上がるように工夫しました。
・アートと調和するペンダント
葉山の家では、デザインが進行している中でお客様がアートをオークションで落札されたので、そのアートの色を意識して、ペンダントのガラス球をセレクトしました。作品と調和する色味のガラス球が、空間全体に一体感とアクセントをもたらしています。
アートを飾ることで、インテリアがぐっと引き立ち、日常の空間が少し特別なものに変わります。毎日を過ごす場所だからこそ、心に響くアートやお気に入りの作品を取り入れることで、住まいに一層の愛着が生まれます。インテリアの中にアートを配置することで、空間に深みや個性が加わり、部屋ごとに異なる雰囲気やストーリーが生まれるのも魅力です。壁にかける作品や、照明で陰影を演出する工夫、家具との組み合わせなど、小さなアイディアで空間の表情が変わり、訪れる人にも驚きや喜びを与えてくれます。
是非アートを飾る際の参考にしてみてください。