外とつながる心地よさ 暮らしを広げるテラスのつくり方
長い冬を終え、外が気持ちの良い季節になりました。
風を感じながら過ごす時間は、とても贅沢に感じられます。
室内から外へ出て、食事をしたり、ゆっくりお茶を飲みながら景色を眺めたり。
そんな「外とつながる暮らし」は、日常の心地よさをぐっと高めてくれます。
今回は、軽井沢と鎌倉、2つの住まいのテラスづくりをご紹介します。
それぞれのご家族の暮らし方に寄り添いながら、どんなふうに外とのつながりをつくったのか、ご紹介できればと思います。
<軽井沢の家>
軽井沢の家は、ダイニングとお庭に70センチ弱の高低差があります。
当初は、テラスがリビングまで伸びていて、全体に手すりをぐるっと回すプランを、ハウスメーカーさんからいただいていました。
同じ敷地内に、お庭を介してお子さんの別荘があるので、玄関からではなくテラスからお互い行き来をすると伺っていたので、手すりを三方に回してテラスとお庭の境界線を作ってしまうのは、暮らし方が変わってしまうのでは?と感じました。
また、テラスはリビングとダイニング全体ではなく、ダイニング前だけでよいというご要望もあったため、リビング側には縁側のようなつくりが合っているのではないかと考えました。
色々考える中で、これだ!と思う以下写真に出会い、プランを考え始めました。
どこにピンと来たかというと、段差です!
リビング側のテラスをダイニング側よりも1段下げ、ダイニング側が3段目、リビング側が2段目・1段目となれば、リビングの前は縁側程度の幅にしても違和感はないと考えました。
リビング前のテラスは腰掛けて過ごすこともできる縁側兼階段となり、大人数が集まった時はここでも食事をとったり、語り合えるスペースとなりました。
また、もちろん手すりは安全上つけたほうが良いのですが、2つのお家をお庭を介して緩やかに繋げ、お孫さんも自由に行き来することができるよう付けないことにしました。
ただし、配置予定のテーブルの周りに1500スペースを設け、椅子が弾いた状態でも後ろにゆとりができるよう空間をたっぷり取ることで安全性を確保しました。
<鎌倉の家>
鎌倉の家はテラスとダイニングが一体になるように設計しました。
サッシのサイズと壁の幅を照らし合わせ、窓を開けたら完全に壁の中に収納され見えないようにしています。
テラスとダイニングの床タイルは内外で使えるタイルとし、サッシもフラットに埋め込み、タイル目地を通すことにより、中と外が完全に一体になるように計画しています。
また、カーテンも窓にかからないように片引とし、コーナーにたまるようにしています。
このように、内外を一体に見せることは簡単なように思われるかもしれませんが、設計当初から細かいことを建築家と一緒に検討することで実現できるものなのです。
テラスは、室内と外をやわらかくつなぐ、とても心地のよい場所です。
過ごし方や家族の動線を意識することで、ぐっと使いやすく、大切な居場所になるはずです。
これからも「外とつながる暮らし」を丁寧に考えていきたいと思っています。