回遊動線とは? パブリック動線をどう演出するのか

utideのブログでは「インテリアをよくするヒント」を綴りたいと思っています。ハウスメーカーさんや建築家と家を作られている方、お客様の家をデザインされているコーディネーターさんに少しでも役立つ情報を共有していけたらと、どんなことを書くのが良いのか、リストを作って毎回考えています。インスタグラム等でいただくご質問をヒントに、これからも様々な情報を共有していきたいと思いますので、是非こんなことを知りたいといった質問やリクエストを送ってください。
 
今回は「回遊動線」について知りたいというご質問を、インテリアコーディネーターさんから頂いたので、回遊動線について書きたいと思いましが、そもそもutideでは「回遊」を意識してプランニングはしていなかったので、何を書いて良いのか?迷いました。プライベートとパブリックを分ける動線、家事動線、家族動線を確保する動線を考えた結果、「回遊動線」と呼ばれるプランニングになっているのだと思いました。そして「回遊動線」を英語で調べると、これだと思う訳が見つからず、改めて「回遊動線」は日本的な発想なのかもしれないと気がつきました。
 
前置きが長くなりましたが、これまでもファミリールームファミリー玄関、そしてランドリー動線など、家事・家族動線についてのブログは書いているので、今回は「パブリック動線」でも玄関について書きたいと思います。玄関はその家の顔ですが、utideではあえて「デザインを作り込む」ことはしていません。それよりも、いつお客様がいらしても綺麗に保てるような間取り(家族動線との区分)や、その立地条件(日光の入り方、周辺のグリーンや眺望)を生かしたデザインを考えるようにしています。
 
 

<玄関の正面を「抜く」>

玄関の正面を「抜く」とは一体どういうことなのか、実例をご紹介します。こちらの山手の家は、エントランスを入ると正面に見えてくるのが、高台から見下ろすことができる『みなとみらいの景色』です。以前ここはキッチンだったのですがこのビューをぜひ玄関正面から見せたいと思い、構造設計士と相談し床から天井までの開口を設けました。またその手前には、以前から大切にされていたコンソールを配置し、この立地の持っている魅力と、ご家族が大切にされてきた想い出が主役となるようにデザインをしています。
 
 
▷山手の家 : Before → After インスタグラムはコチラ
 

 
山手の家のように、絶景が楽しめる立地は多くありませんので、玄関の正面にお庭を設けることも少なくありません。このお庭は洗濯を干したり、ビニールプールを出したりするような「使う、楽しむ」お庭ではなく、四季折々の樹木を「見て楽しむ」お庭なので、最初の段階からガーデンデザイナーさんと樹木の選定をして計画を進めています。選ばれる樹木にもよりますが、お庭は大きくなくても大丈夫です!ライトアップをされると夜も楽しめますので、ぜひライトアップも一緒に検討してみてください。
 
 

 
 

<玄関の正面を「止める」>

マンションなどの場合、窓の位置は限られているので、玄関正面をアートやミラーなどで視線を「止める」ことを意識してデザインします。例えば麻布の家では、お持ちのアートとコンソールを中心に、ミラーやモールディングで壁全体として目が留まるようにデザインしています。そのためには、壁が玄関入り口に対して、そして玄関ホール床のタイルがシンメトリーでないと美しくないので、実はシンメトリーになるように間取りを計画しました。
 

 

 
一方、玄関から先が奥行きがある場合は、アートを配置しても玄関からは目に入らないので、照明や色使いで演出しています。例えば赤坂の家では、玄関正面をタイル壁にし、自然光を考慮して照明を検討しました。高輪の家ではお持ちのアートが紺色が多かったので、天井と正面のドアを紺色にし、家全体に飾ってあるアートとの調和となるデザインにしています。
 

 
視線を止めるということは、視線がそこに行くということですから、その壁にはスイッチやコンセントが来ないように配慮することはとても重要です。
 
 

<玄関から「暮らしを感じる」>

玄関の正面にリビングを配置することも少なくありません。その場合は、できる限りリビングの扉はガラス扉にし、そのお家の暮らしが玄関から少し感じ取れるようにしています。緑ヶ丘の家では玄関ホールの天井高さを生かしてR型の大きなガラス建具をデザインし、奥のテラス.7まで視線が抜けるようにしました。また高い天井を活かし、ボッチの照明を配置しました。縦長照明はぶつからないようにと高い位置にするケースが少なくないですが、utideではできるだけ「目線に入るように」低めにしていますが、緑が丘の家では外からもbocciが見えるように通常よりも高めに配置しています。
 

 
私の自宅も玄関正面にリビングがあるのですが、緑ヶ丘の家とは異なり、リビング越しに見える窓はあえて腰窓にしました。視線を玄関からお庭まで通さずにいたんリビングで止めることで、玄関ホールに目が行くようにするためです。玄関ホールには、主人の実家からいただいた和箪笥を配置し、その上には季節の飾り物や、子供たちが作ってきたアートを飾って楽しんでします。
 

 
そして、葉山の家では、玄関正面を全面ガラスにしリビングと玄関が一体に感じるようにしました。ガラス面自体がアートになるようにアーチフレームをデザインしています。扉が閉まった状態も、開いている状態も綺麗に見えるように、アーチの重なり合いなども考慮しながらデザインしました。
 

 
このように、玄関一つでも、色々な捉え方がありそれぞれの立地条件に沿ってデザインをしています。今回は「パブリック動線」としての玄関をどうデザインしているかについてご紹介しましたが、玄関は「パブリック動線」と「家族動線」が混じり合う場所ですので、デザイン以上に間取り計画が重要です。いつでも綺麗に玄関を保つ間取りのヒントについてはブログでご紹介していますので、ぜひそちらも合わせてお読み頂けたら幸いです。
 
 
今後も実例を用いながら「インテリアをよくするヒント」を発信していきたいと思いますので、少しでも家づくりに役立てて頂けたら嬉しいです。

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